イピニボに腫瘍崩壊症候群の副作用追記 5-ASA製剤のANCA関連血管炎、ヒュミラの自己免疫性肝炎なども 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 厚生労働省は昨日(9月9日)付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0909第1号)を発出し、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。①アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)アジルサルタン(商品名アジルバ他)など降圧薬27製剤は、「重大な副作用」の「血管浮腫」を「血管性浮腫」に変更の上、「また、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫があらわれることがある」の記載を追記、②5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤メサラジン(ペンタサ他)とサラゾスルファピリジン(サラゾピリン他)は「重大な副作用」の項に「抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎」を新設、③TNFα阻害薬アダリムマブ(ヒュミラ他)は「重大な副作用」の項に「自己免疫性肝炎」を新設、④CTLA-4阻害薬イピリムマブ(ヤーボイ)およびPD-1阻害薬ニボルマブ(オプジーボ)は「重大な副作用」の項に「腫瘍崩壊症候群」を新設など、⑤カルバペネム系抗菌薬メロペネム(メロペン他)は「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加-などの改訂を指示している。(関連記事「GLP-1受容体作動薬にイレウスの副作用追記」) RAS阻害薬:VigiBaseを用いた不均衡分析の結果などに基づく 降圧薬について、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬では現行の「重大な副作用」の項に血管浮腫が記載されており、既知のリスクである。今回、①血管性浮腫の一種である腸管血管性浮腫についても潜在的なリスクの可能性がある、②一部の薬剤は国内外で腸管血管性浮腫に関連する副作用報告がないものの、複数の薬剤で腸管血管性浮腫との因果関係が否定できない症例が集積している、③医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施したVigiBaseを用いた不均衡分析において、複数のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびARBで「腸管血管性浮腫」に関する副作用報告数がデータベース全体の予測値より有意に高かった-ことを受け、専門委員会の意見も聴取した上で改訂が適切と判断。「重大な副作用」の「血管浮腫」を「血管性浮腫」に変更の上、「また、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫があらわれることがある」の記載を追記した。 対象となるのは、以下の27製剤(商品名) ●ARB:アジルサルタン(アジルバ他)、カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス他)、イルベサルタン(イルベタン他)、オルメサルタンメドキソミル(オルメテック他)、バルサルタン(ディオバン他)、テルミサルタン(ミカルディス他)、ロサルタンカリウム(ニューロタン他) ●ARB/利尿薬配合剤:カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド配合(エカード他)、イルベサルタン・トリクロルメチアジド配合(イルトラ)、バルサルタン・ヒドロクロロチアジド配合(コディオ他)、テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド配合(ミコンビ他)、ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド配合(プレミネント他) ●ARB/カルシウム拮抗薬配合剤:アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合(ザクラス他)、カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩配合(ユニシア他)、イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合(アイミクス他)、オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン配合(レザルタス)、バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合(エックスフォージ他)、バルサルタン・シルニジピン配合(アテディオ)、テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合(ミカムロ他) ●ARB/カルシウム拮抗薬/利尿薬配合剤:テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド配合(ミカトリオ) ●ACE阻害薬:アラセプリル(セタプリル他)、イミダプリル塩酸塩(タナトリル他)、デラプリル塩酸塩(アデカット)、トランドラプリル(オドリック他)、ペリンドプリルエルブミン(コバシル他) ●レニン阻害薬:アリスキレンフマル酸塩(ラジレス) ●アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI):サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(エンレスト) 5-ASA製剤:因果関係が否定できない国内症例が集積 メサラジンとサラゾスルファピリジンについては、血管炎関連症例を評価したところ、国内症例がそれぞれ17例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例6例)、4例(同2例、うち1例は適応外使用)集積。いずれも因果関係が否定できない死亡例はなかったものの、専門委員の意見も踏まえて「重大な副作用」の項に「ANCA関連血管炎」を新設し、「発熱、倦怠感、関節痛、筋痛等の全身症状や、皮膚(紅斑、紫斑)、肺(血痰)、腎臓(血尿、蛋白尿)等の臓器症状があらわれることがある」の記載を追加するよう指示した。 アダリムマブ:国内外で自己免疫性肝炎症例が集積 アダリムマブについては、自己免疫性肝炎関連症例を評価した結果、国内症例4例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例0例)、海外症例が13例(同4例)集積。いずれも死亡例はなかったが、専門委員の意見も踏まえて「重大な副作用」の項に「自己免疫性肝炎」を新設することが適切と判断した。 イピリムマブ、ニボルマブ:国内外で因果関係が否定できない症例が複数集積 イピリムマブとニボルマブについては、腫瘍崩壊症候群の症例を評価した。その結果、それぞれ国内症例が10例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例3例)、14例(同4例)、海外症例が5例(同2例、うち1例は適応外使用)、11例(同4例、全て適応外使用)集積。専門委員の意見も踏まえ、「重要な基本的注意」の項に「腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること」の記述を新設するとともに、「重大な副作用」の項に「腫瘍崩壊症候群」を新設し、「異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること」の記載を追加するよう指示した。 メロペネムについては、急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価したところ、国内症例4例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例2例)、海外症例10例(同6例、うち1例は適応外使用)の集積が確認された。専門委員の意見も踏まえた上で、「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追記するよう指示した。 詳細は、厚労省の「医薬安発0909第1号」を参照されたい。 (編集部・関根雄人) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×