ワクチン接種は、個人レベルでの感染および重症化リスクを低減するだけでなく、集団レベルでの感染拡大予防や医療体制の負荷軽減にも寄与する。一方、医療資源の浪費を防ぐ上では、ワクチンの供給と需要のバランスを適切に調整することが重要となる。効果的なワクチン接種の推進と戦略立案のためには、国民の接種意向の経時的な変化を把握することが求められるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)収束後の接種意向は十分に検討されていない。大崎市民病院(宮城県)麻酔科の及川孔氏と大阪大学感染症総合教育研究拠点教授の村上道夫氏らの共同研究グループは、国内のパネル調査データを用いて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種意向の変化を分析。緊急事態宣言終了(2023年5月)を挟む2022年9月~24年3月の約1年半で半数以下に激減したとの結果をVaccine(2025; 67: 127869)に発表した。