薬剤師のためのがん治療用語/有害事象(adverse event) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 用語の意味を把握しよう! 「有害事象」ってなぁに? (1)、(2)のどちらの意味でしょう。(1)投薬などの治療で生じた、あらゆる好ましくない症状や徴候のこと。 なお、治療との因果関係は問わない(2)カリスマ女性シンガーを中心としたポップでデスメタルな5人組バンドの名前。 音楽性の違いでデビュー前に解散 こたえ:(1) 因果関係は問わない 有害事象(adverse event;AE)は、"治療・処置で生じたあらゆる好ましくない症状、徴候、臨床検査値の異常であり、治療との因果関係は問わない"と定義されており、がん治療薬の臨床試験では「毒性(toxicity)」と呼ばれることもあります。厳密には、副作用(side effect; SE)や薬物有害反応(adverse drug reaction; ADR)とは一致しません〈図〉。 図 有害事象、薬物有害反応、副作用 どうやって評価するの? 有害事象の評価は、米国立がん研究所(national cancer institute;NCI)が作成した『有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events;CTCAE 読み:シー・ティー・シー・エー・イー)』が世界的な規準として用いられています。CTCAEでは有害事象ごとに重症度を「Grade」で示し、Grade 1(軽症)からGrade 5(死亡)までの5段階で評価しています〈表〉。CTCAEによるGrade評価は、減量・休薬またはレジメン変更などの目安ともなります。 現在は2010年に改訂された『CTCAE v4.0』が用いられており、日本語訳を行ったJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)のウェブサイトからダウンロード可能です(http://www.jcog.jp/doctor/tool/ctcaev4.html)。 表 Gradeの定義(CTCAE v4.0 日本語訳 JCOG版) Advance!! もっと詳しく知りたいあなたへ Gradingを行う時の留意点として、以下の2点が挙げられます。 1."nearest match"・・・「総合的に判断して最も近いGradeに当てはめる」という原則です。「少しでも疑われたらより重いGradeに当てはめる」のは、よくある誤解です。例えば「食欲不振」の「Grade 3」には「輸液を要する」との記載がありますが、1度輸液が必要になったからといってGrade 3と評価されるわけではありません。2."no modification at baseline"...「治療開始時(baseline)の状態を加味してGradeを補整してはならない」という原則です。例えば、現在Grade 2だけど治療開始時にGrade 1のような状態だったので「Grade 2引くGrade 1で、Grade 1だ」とはなりません。なお、Grade 3以上、あるいは、Grade 4以上の有害事象については「重篤な有害事象(serious adverse event: SAE)」とも呼ばれ、有害事象のなかでも特に注意が必要となります。 [PharmaTribune 2012年10月号掲載] 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×