薬剤師のための皮膚科処方箋/mediumランクのステロイド外用薬の単純塗布 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎 処方箋からわかること 疾患 かゆみを伴う軽度の炎症性病変塗布部位が顔面なので、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乳児湿疹などが考えられる 処方意図 ステロイドで皮膚炎とかゆみを早く改善したい顔面なので弱いステロイドを用いたい ロコイド®軟膏の要点 薬剤:ロコイド®軟膏0.1% 一般名:ヒドロコルチゾン酪酸エステル mediumランクのステロイド外用薬mediumランクは軽症の炎症性皮膚疾患に対して用いられる[同等品]アルメタ®軟膏、キンダベート®軟膏0.05%、リドメックスコーワ 用法 顔面への塗布回数は、症状に合わせて1日1~2回(朝と夜)1日1回の場合、夜(入浴後または就寝前)に指示されることが多い。これは、朝に塗ると顔がてかる、化粧がしづらいなどの理由で、夜の方が、塗布してもらいやすいからである 塗布部位 mediumランクは皮膚の薄い部位(顔面、前頸部、陰部)に用いられる 患者さんにこうやって伝えよう! 弱めのステロイドです弱いステロイドだからといって、長い間塗り続けないでください塗る回数・塗る部位・使用期間は、医師が症状を見て調節していますから、指示を守ってください顔に塗るときは、直接目に入らないように注意してください Dr.Dannoのコレは覚えておきたい! 顔面へのステロイド塗布 顔面へステロイドを長期間塗り続けることは好ましくありません →塗布期間の目安は2~3週間です弱いステロイドだからといって安心ということはありません→顔面は皮膚が薄いので、ステロイド皮膚症(皮膚萎縮、毛細血管拡張)が起こりやすいからです→毛包・脂腺が多い部位なので痤瘡(にきび)や毛包炎が起こることもあります 眼囲・口唇へのステロイド塗布 眼囲の皮膚炎に眼・耳科用リンデロン®A軟膏やプレドニン®眼軟膏がよく用いられますが、効き目が悪かったり、ときにかぶれることがあります→このような場合、皮膚科用のステロイドが処方されます→直接眼に入らないよう、ごく薄く塗布してください→短期間の使用が好ましいです口唇へは皮膚科用の軟膏が処方されます→なめて口に入る程度なら害はないと思います ステロイドと日光 「ステロイドを塗ると肌が黒くなりませんか? 日にあたると黒くなりませんか?」・・・ステロイドについて患者さんから 一番多い質問です→ステロイドで、肌は黒くなりません→ステロイドと日光(紫外線)が反応して、肌が黒くなることもありません→黒くなるのはステロイドのせいではなく、皮膚炎症が繰り返して長く続くことに よって、炎症後色素沈着が起きたからです→色素沈着を最小限に食い止めるためには、ステロイドを正しく使って、皮膚炎をできるだけ早く治すことが大切です C o l u m n ステロイドのランク表示の功罪 ステロイド外用薬は、治療効果の強さでstrongest、very strong、strong、medium、weakの5ランクに分類されます。 薬の本によると、very strongは"かなり強力"、strongは"強力"と記載されていますが、患者へこのように説明すると、"なんと強い薬だろう、身体に良くないのでは"と過剰な不安を与えます。心配して塗らないこともありますvery strongとstrongランクは幅広い適応があり、もっともよく処方されます患者への説明では、以下の表現が妥当ではないでしょうか strongest・・・もっとも強い very strong・・・比較的強めの strong・・・中等度の強さの medium・・・弱めの 前回の「ヒルドイドソフトの単純塗布」はこちら 次回の「ステロイド外用薬のランク付けと選択基準」はこちら [PharmaTribune 2012年3月号掲載] 監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。【略歴】1975 年 京都大学医学部卒業1977 年 カリフォルニア大学留学1984 年 京都大学医学部皮膚科講師1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院 皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・ ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html 保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×