薬剤師のためのがん治療用語/生存期間中央値

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用語の意味を把握しよう!

「生存期間中央値」ってなぁに? (1)、(2)のどちらの意味でしょう。
(1)臨床試験で治療効果をみる指標の1つで、カプラン・マイヤー曲線で生存率が初めて50%になるまでの期間。
(2)早口言葉、「寿限無寿限無生存期間中央値無増悪生存期間中央値...」の一節。

こたえ:(1)

生存期間中央値は、がん治療薬の臨床試験で有効性をみる重要な指標の1つとして用いられます。英語では「median survival time(MST)」と言います。

生存期間の代表的な解析法がカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)法であり、グラフ化したものがカプラン・マイヤー曲線と呼ばれます。

MSTは、カプラン・マイヤー曲線で生存率が初めて50%になるまでの期間を表しています〈図1~3〉。

また、MSTのほかによく目にする用語として、「5年生存率」や「3年生存率」などがあるかと思います。これは、治療開始時や診断時から5年後、3年後に生存している人の割合を意味します。

Advance!! もっと詳しく知りたいあなたへ

「どうして"生存期間平均値"じゃないの?」

「平均年齢」や「平均点」というように、何かの目安にする値としては、「中央値」よりも「平均値」のほうが馴染み深いことと思います。しかし、「平均年収は、一握りの大金持ちによって引き上げられる」と言われるように、平均値は、一部の極端な数値が存在し得る事柄に関しては、不適切な目安となります。

がん治療薬の臨床試験では、少数ながら非常に長生きできる患者さんも存在し得ます。また、良い薬であるなら一刻も早く多くの患者さんへ届ける必要があります。目安に適さない、最後の患者さんが亡くなるまで待てない、などの理由から、がん治療薬の臨床試験では、"生存期間平均値"は指標にできないと言えます。

(2018年6月21日 編集部 追記)
生存期間中央値についての説明に誤りがあり、文章の修正、図のさしかえを行いました。
ご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。

[PharmaTribune 2012年12月号掲載]

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