P-CABは逆流性食道炎の治療を変えるのか?

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研究の背景:日本発の酸分泌抑制薬が臨床に登場

 ボノプラザンフマル酸塩(以下,ボノプラザン)は,酸分泌抑制薬としてはプロトンポンプ阻害薬(PPI)とはクラスの異なる,わが国で開発されたカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker:P-CAB)である。本剤は,2014年11月に厚生労働省の医薬品第一部会にて了承され,薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告された。胃潰瘍,十二指腸潰瘍,逆流性食道炎,低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制,非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制,そして胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃およびヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助に対する有効性が示されて,認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断され,世界に先駆けてわが国で2015年2月から発売開始となった(日本医事新報 2015; 4751:32-39)。今回紹介する論文は,この承認時に提出されたデータのうち,逆流性食道炎(びらん性食道炎)の治癒効果を検討した臨床試験の結果である(Aliment Pharmacol Ther2016; 43:240-251)。

鈴木 秀和(すずき ひでかず)

慶應義塾大学 医学教育統轄センター教授。

1989年に慶應義塾大学医学部を卒業し,1993年に同大学大学院医学研究科博士課程修了 。同年に米国カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員,2005年に北里研究所病院消化器科医長を経て,2006年に慶應義塾大学専任講師 ,2011年に同大学内科学(消化器)准教授。2015年11月より現職。
日本消化器病学会財団評議員,Rome委員会委員,日本ヘリコバクター学会理事,日本潰瘍学会理事,日本神経消化器病学会理事,日本臨床中医薬学会理事,AGAフェロー,ACGフェロー,Rome財団フェロー。

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