薬剤師のための褥瘡薬物療法/黒色壊死のある深い褥瘡(褥瘡は"治る疾患"と考えよう)

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

前回は、真皮にいたる浅い褥瘡を例に、薬物治療に必要な病態評価のポイントと、上皮化を目的とした治療をする上での基剤の特性を活かした外用薬の選び方を学びました。
今回は、黒い壊死組織のある褥瘡を例に、どのように治療するか見ていきましょう。一見治らなそうに見える褥瘡も、適切な処置を施せばきちんと創が塞がることがよくわかると思います。

黒色壊死のある深い褥瘡

褥瘡は真皮浅層までの浅い褥瘡と真皮深層を超え皮下組織に及ぶ深い褥瘡に分かれます。下の写真は、表面上には黒色壊死組織があり、かさぶた状に見えますが治りかけではありません。黒色壊死組織があるときは、軟部組織が感染を起こしている可能性が高く、放置していると壊死組織と健常皮膚の間から膿が出てくることもあります。まずは壊死組織の除去を行います。

症例2

年齢、性別 : 90 歳、女性
身長、体重 : 140cm、40kg
褥瘡発症部位:仙骨部
基礎疾患 : アルツハイマー認知症
使用薬剤 : アリナミン®F 糖衣錠、プロマック®D 錠、シナール® 配合顆粒、エンシュア• リキッド®
要介護度 : 5、寝たきり(食事時のみ座位)、排泄はオムツ使用
食事形態 :ミキサー食(とろみ付き)
麻痺の有無 : なし
拘縮の有無 : なし
体位変換間隔 : 約30 時間
得手体位・姿勢 : なし

施設入居1 年目。施設入居前、ご家族(娘、婿 60 歳代)と暮らしていたが、そのころからずっと寝たきりの生活をしていた(何年間かは不明)。在宅療養中に仙骨部褥瘡ができたが、施設入居以前は訪問医もいなく、通院もしておらず、褥瘡治療はしていなかった。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする