薬剤師のための褥瘡薬物療法/治療方針の考え方皮膚にかかる力を理解しよう3ー

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急性期の褥瘡の見立て→創面の色から予測

 褥瘡は発症直後から2週間は急性期、その後は慢性期と大きく分けられます。急性期では表面に発赤、紫斑、水疱、びらんなどの症状が認められますが、侵襲を受けた程度が判断できず、慢性期に移行するまではどのような病態にまで進むのかが特定しにくいことが多いです。

 しかし、創面の色でおおよその予測が可能です。発赤の状態で発見しても1 週間後には黒色壊死の状態になることもあるので一概には言えませんが、暗赤色ならばNPUAP ステージ分類〈表〉のⅡ~Ⅲまでで収まり、黒色や暗紫色ではステージⅣの褥瘡になることがほとんどです。

 症例3 の急性期の創面は暗赤色なので、ステージⅡ~Ⅲまでで収まると予測されます。

表 褥瘡の深達度による分類(DESIGN-R®の深さ項目およびNPUAP ステージ分類)

褥瘡の深達度を表す分類の1 つに、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel; NPUAP)が1989 年に提唱したNPUAP ステージ分類がある。当初はステージⅠ~Ⅳの4 つに分類されていたが、2007 年に改訂され、皮膚表面の損傷がなくとも深部ですでに損傷が起こっていることがあるという考え方から、「深部損傷褥瘡疑い」(deep tissue injury; DTI)という病態と、褥瘡の深達度が判断できない場合の「判定不能」(Unstageable)を加えた6 つに分類されている。ステージⅠ、Ⅱが浅い褥瘡、ステージⅢ、Ⅳが深い褥瘡とされる。

日本褥瘡学会編. 褥瘡予防・管理ガイドライン. 東京, 照林社, 2009. および
日本褥瘡学会ウェブサイト[2016 年4 月4 日アクセス]をもとに作成

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