薬剤師のための皮膚科処方箋/皮膚科受診患者さんからの質問(2) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎 診察室で患者さんからよく聞かれる質問を紹介します。患者さんが抱える不安を知り、突然相談されても応対できるように準備しておきましょう。 Q1. 湿疹のある乳児を連れてきて・・・「アトピーでしょうか?」 アトピー性皮膚炎は皮膚症状の「特徴」と「経過」から診断していきます。初めての診察ではわからないことが多いです。今後も定期的に診察を受け、治療をしながら、経過をみていきましょう。 Q2. アトピーの乳幼児を連れてきて・・・「食事制限は必要でしょうか?」 食物アレルギーが明らかな場合以外、特別な制限をする必要はありません。むしろ、しっかりアトピーの湿疹病変を治してあげることのほうが大切です。湿疹を放っておくと、食物アレルギーが起こり※、さらに連鎖的に別のアレルギーが起こっていくともいわれています。 ※湿疹によって皮膚のバリア機能が損なわれ、皮膚に付着した食物から食物アレルギーが起こる Q3. アトピーの患者さんから・・・「いつまで塗ればよいのですか?治りますか?」 アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返し、治りにくいケースが多いです。皮膚科医は、症状に合わせて、薬の強さや量を調節しながら、良好な状態を保てるよう治療していきます。定期的に通院し、医師の指示に従ってきっちりお薬を塗ってください。良くなったからといって勝手に塗るのをやめないようにしてください。 Q3. 蕁麻疹の患者さんが受診して・・・「原因はなんですか?」 蕁麻疹の70%以上は原因がはっきりしません。原因が不明でも、対症療法を続けることによって症状は改善します。医師の指示に従って薬をきちんと服用し、根気よく治療を続けてください。規則正しい生活、バランスのよい食事を心がけることは言うまでもありません。 Q4. 水虫の患者さんが受診して・・・「家族にうつりますか?」 水虫(白癬)の家族内感染はよく起こります。白癬菌はカビなので、湿ったところが大好きです。足ふきマット、スリッパなどを常に乾燥させ、共用しないほうがよいでしょう。本人も清潔を心がけ、しっかり皮膚科治療を受けて早く治すよう努力してください。靴下の洗濯は一緒でかまいません。 前回の「ステロイドとアズノール軟膏の重層塗布」はこちら 次回の「ステロイドと油脂性保湿剤の混合処方」はこちら [PharmaTribune 2012年10月号、2013年1月号掲載] 監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。【略歴】1975 年 京都大学医学部卒業1977 年 カリフォルニア大学留学1984 年 京都大学医学部皮膚科講師1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院 皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・ ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html 保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×