そこにS波があるだけで? ブルガダ心電図を深読みする 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする このコラムではいつも循環器領域の「医療の質」あるいは「アウトカム」に関する研究を中心に取り上げていますが,今回取り上げる内容は心電図の純粋に臨床的な話題です。どうか気楽に読んでください。 研究の背景:心電図誘導の"MVP"は誰か? さて,循環器の象徴ともいえる心電図の話題であるが,その12個ある誘導の中で最も「使える誘導」は果たしてどの誘導だろうか? いろいろと議論がありそうだが, まず,電気生理学的に考えてみよう。全ての心臓の電気的興奮は斜め左下に位置する心尖部を狙って動いている。「俺に向かってどんとこい」 と心尖部の先で構えているのは第Ⅱ誘導であり(図1,囲み緑),実際この誘導ではP波も見やすいため,よくモニター心電図でも使われる。 他に人気を集めるのは,V1誘導か(囲み赤)? V1は胸の真ん中辺りに位置しているが,実はうまい具合に右房と左房の間に位置しており,V1のP波の持っている情報量は半端ない。さらにQRSに関しても,ペラッペラの右室が直下にあるので,左室肥大だろうが右室肥大だろうが目安がつくし(S波が深いのが左室肥大,R波が高いのが右室肥大),脚ブロックの判定もお手のものである(S波が割れてるパターンが左脚ブロック,R波が割れているのが右脚ブロック)。 図1.12誘導心電図 だが本当に優秀な誘導は,その誘導だけで心臓の状態を全て語り尽くすようなものではないだろうか? 電気軸とかそういったものにとらわれず,心臓で起こっている神羅万象,全ての電気的現象を俯瞰する神のような立場の誘導があれば,それこそ"MVP"ならぬ"MVL"(most valuable lead)の名前にふさわしい。 心電図の「ポールポジション」にあるのは第Ⅰ誘導である(囲み青)。第Ⅰ誘導は,右から左のベクトルを拾ってくる絶好の位置にあり,まさに心臓のX軸といえる。ちなみにY軸はaVF誘導だが,ひねくれて下を向いてしまっているため,いまひとつ影が薄い。 今回の文献1)で取り上げるのは,その心臓のX軸たる第Ⅰ誘導のstrong pointを活かした研究内容である。実に意外な疾患から得られた知見であるが,順番に見ていこう。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×