老人ホームの朝食がランチパック?!

隠岐島は日本の50年先を体感している

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 「少子高齢化」という言葉の本当の意味を理解していますか? 日常生活で実感していますか? 読んで字のごとく、「子供が少なくて高齢化率が上がる」ということです。子供が少なくても、老人が増えても、将来のことは別として、とりあえずそれ自体は構わないのです。でも、隠岐の西ノ島で実際に目の当たりにする少子高齢化の実態は、「生産年齢人口の激減」なのです。働く人がいないんです。医療職のように資格が必要な職種ならまだしも、病院や老人ホームの事務、厨房職員が足りません。ついに当地の老人ホームは厨房職員が集まらず早出の職員が確保できないため、週に何回か朝ごはんがランチパック®と牛乳になりました。民間の保育園は保母さんが足りなくて、病後児保育をやめてしまいました。

 へき地だから介護施設だからと憐れんだり、笑ったりするかもしれませんが、これが高齢化率43%の現実です。おそらく、地続きのへき地であれば、食事サービスを外注して近くの町からデリバリーをしてもらうことが可能かもしれません。本土であれば集約化をしたり、隣の町と共同運用したりといろいろと工夫できるかもしれません。離島ではそういった対応もままならないのです。

白石 吉彦(しらいし よしひこ)
 離島総合医。1992年に自治医科大学卒業後、徳島で研修、山間地のへき地医療を経験。1998年に島根県の隠岐諸島にある島前診療所(現隠岐島前病院)に赴任。2001年に同院院長。周囲のサテライトの診療所を含めて総合医の複数制、本土の医療機関との連携をとりながら、人口6,000人の隠岐島前地区の医療を支えている。
 2014年に第2回日本医師会赤ひげ大賞受賞。著書に『離島発 いますぐ使える!外来診療小ワザ離れワザ』(中山書店、2014)、THE整形内科(南山堂、2016.5、編集幹事)。

白石 裕子(しらいし ゆうこ)
 離島総合医。1994年に自治医科大学卒業。徳島県立中央病院、徳島大学病院小児科、徳島県立三好病院、西祖谷診療所勤務。1997年に1子出産。1998年に島根県隠岐諸島・西ノ島の島前診療所に赴任、西ノ島町立浦郷診療所長兼務。2001年に第2子出産。2003年に島根県立中央病院にて後期ローテート研修。2004年に隠岐島前病院に再度赴任、浦郷診療所長を兼務、第3子出産。知夫診療所へ週1回派遣。2006年に第4子出産。2010年に隠岐島前病院小児科長、西ノ島町内の学校医、園医、乳児〜就学時、5歳児健診、予防接種など小児科業務と総合内科、診療所業務、病院業務などを行う。
 2015年に自治医科大学地域医療学教室学外講師地域担当。2015年に第2回やぶ医者大賞受賞(兵庫県養父市)。

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