なぜ、日本の薬剤師はOTC医薬品が苦手なのか 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 健康サポート薬局構想により、厚労省は"国民の疾患予防と健康サポートに貢献する薬局"という新しい薬局像を打ち出した。「調剤薬局から普通の薬局ヘ」、国の政策が大きく舵を切ったと飯島氏は解釈する。具体的には、地域住民の健康相談にきちんと対応し、そこでの相談内容や、一般用医薬品(OTC医薬品)、健康食品等の販売履歴を把握しておくことが要件とされた。 患者によるセルフケア、薬剤師による健康サポートに欠かせないのはOTC医薬品であろう。ところが飯島氏は、「医薬分業の進展過程で、保険薬局はOTC医薬品を手放した」という。昭和50年代からの調剤偏重の流れの中で、OTC医薬品は価格勝負の物流商品と軽視された。市民や医療従事者もその服用を医療行為とは位置づけなくなった。OTC医薬品や健康食品、サプリメント、医療用具などに詳しい薬剤師は少ないし、薬学教育でOTCを教えられる人はまれだという。 これに対して、カナダやオーストラリアでは事情が異なる。比較的軽度の症状に対して患者が行うセルフケアをサポートし、マネジメントすることは、薬剤師の重要の仕事なのである。これが軽医療マネジメント(minor ailment management)だが、上田薬剤師会では2010年と11年に両国の専門家を招き、"OTCを用いた薬剤師による軽医療マネジメントに関する研修"を実施した(厚生労働省平成23、24年度薬剤師生涯教育推進事業)。 そこでは、OTC医薬品の基礎知識、軽度と思われる症状の臨床判断、患者に対するコミュニケーション等を学んだ上で、仮想患者のシナリオに即して軽医療マネジメントのスキル向上を目指したという。すなわち、軽度な症状は医師の手を煩わせることなく、個々人が対応する時代が来ること、それを支えることが薬剤師の役目になることを早くに見越し、OTC医薬品を活用してセルフケアをサポートする方法を学んできたわけだ。 それでも、日本ではOTC医薬品を売ることを苦手とする薬剤師が少なくないことを指摘すると、飯島氏はあっさり「まあ、患者を見ていないからでしょうね」。患者からどうやって話を聞き出すか、患者の納得度をどう量るか、セルフケアのモチベーションをいかに高めるかは、コミュニケーションスキルの問題だという。OTC医薬品は最も近くにいる医療従事者である薬剤師と相談して、安心・安全に買うもの。患者との関係に自信が持てれば、OTC医薬品販売に関する苦手意識は解消されるはずだ。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×