薬剤師のための漢方薬講座/その漢方薬、症状に関係ない処方!?

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

亀田総合病院 東洋医学診療科
南澤 潔 氏

花粉症の治療を希望して来院される患者さん。受診時には既に症状が出ており、クシュンクシュンとされていると、そう悠長に構えてもいられません。標治治療でとりあえず症状改善を試みます。

ところが、全く違う症状で通院されている患者さん―というよりも、当科に通院されている患者さんのうち、少なからぬ方々がそうなのです―が、特に花粉症の治療を行っていないにも関わらず、「漢方を飲み始めてから花粉症の症状が軽減した」とおっしゃいます。

随証治療の結果、患者さんの全体の状態が改善し、それに伴ってアレルギーも出にくくなるということなのでしょう。かぜをひかなくなったという話もよく耳にします。

花粉症の治療に限らず、漢方では、一見その症状に関係なさそうに見える治療が大きな効果を上げることが珍しくありません。これが本治です。

漢方の専門家は、病名でなく患者さんの東洋医学的な異常を診て治療をします。「あなたの病気にこの薬は使わないはずだ」と、患者さんを不安がらせる薬剤師さんもまれにですが、おられるようです。保険適応病名から見ると一見不適切なようであっても、それが本治のための処方である可能性を思い出していただけると幸いです。

PT101_p27.jpg

◆執筆者◆ 南澤 潔 氏


医学博士
日本東洋医学会 漢方専門医・指導医
日本内科学会  総合内科専門医・指導医
日本救急医学会 救急科専門医 

【ご略歴】
1991年 東北大学医学部 卒業
1991年 武蔵野赤十字病院 研修医
1993年 富山医科薬科大学(現 富山大学)和漢診療科
1995年 諏訪中央病院 内科
1996年 成田赤十字病院 内科
1999年 麻生飯塚病院 漢方診療科
2001年 富山大学 和漢診療科
2006年 砺波総合病院 東洋医学科 部長
2009年 亀田総合病院 東洋医学診療科 部長

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする