「COPDにはとりあえずムコダイン」で良いのか?

カルボシステインの最新メタ解析から

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:内服薬でCOPD増悪を抑制できるなら願ってもないこと

 呼吸器内科医のほぼ全員が知っている(ことを願う)臨床試験にPEACE試験がある(Lancet 2008;371:2013-2018)。私たちは分かりやすいように、しばしば「ムコダイン®試験」などと呼んでいる。

 PEACE試験は今から10年以上前に中国で実施された、二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)である。登録患者は、去痰薬カルボシステイン(ムコダイン®:1,500mg/日、1年間)あるいはプラセボを投与する群にランダムに割り付けられた。この試験での一次評価項目は1年増悪率と設定された。その結果、1症例当たりの1年増悪回数は、プラセボ群に比べてカルボシステイン群で有意に低下したのである(1人当たり1.35±0.06回vs.1.01±0.06回、リスク比0.75、95%CI 0.62~0.92、 P=0.004、図1)。また、追加の後解析では、COPD増悪の再発をも減らす効果があることが示された(Lancet 2008 ;372:1630-1631

図1. カルボシステイン群とプラセボ群のCOPD無増悪率(PEACE試験)

Lancet 2008 14;371:2013-2018)

 内服薬でCOPD増悪を抑制できるというのは臨床医にとって願ってもないことであり、またムコダイン®にそこまでの効果があったのかという驚きから、PEACE試験の知見が呼吸器内科医の間で広まった。これは私が呼吸器内科医を目指す前の研修医の時期だったと記憶している。それ以降、COPDといえばムコダイン®という風潮が根付いてしまった。

 果たして絶対王者ムコダイン®には本当にそんな効果があるのだろうか?

 そんな疑問を解決してくれるのが今回紹介するメタ解析である(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2017;12:2277-2283)。

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