吸入薬の副作用は開始1カ月後に注意!
研究の背景:吸入薬の循環器系リスクは正しく評価されてこなかった
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する吸入長時間作用性気管支拡張薬には、抗コリン薬(LAMA)とβ2刺激薬(LABA)の2種類がある。LAMAは尿閉や緑内障に悪影響を与え、LABAは循環器系に悪影響を与えることが懸念されるが、臨床的にほとんど悪影響はなく安全に使用できると考えられている。その理由は、吸入薬という剤形にある。肺に薬効成分が入ったとしても、全身性の影響がほとんど問題ないレベルとされているからだ(呼吸器内科以外では吸入薬が活躍できる素地は少ない。呼吸器内科以外で期待されているのは吸入インスリンであろうか)。
しかし、吸入薬は安全だという結論は過去のあまたの臨床試験の結果に基づくもので、その多くは試験期間が26~52週間と長く、吸入薬を開始した直後に起こる有害事象についての評価はなされていないのが実状である。また、循環器系疾患の既往があるハイリスク患者は大規模臨床試験から軒並み除外されており、そもそもの想定イベント数が少なく検出力が低いというデメリットから、実臨床におけるインパクトは不明のままだった。
吸入薬の分野では、過去にチオトロピウム製剤が死亡リスクを上昇させるのではないかという懸念が生じた歴史があり(BMJ 2011;342:d3215、関連記事「チオトロピウムでCOPD患者の死亡リスク1.5倍,米メタ解析」、Thorax 2013;68:48-56)、なんとなく循環器系疾患に対してナーバスな医師が多いように思う。ただしこれについては、後日否定的な研究(TIOSPIR試験)が出ている(N Engl J Med 2013;369:1491-1501、関連記事「チオトロピウム霧状吸入剤の死亡リスクの懸念,大規模RCTで払拭」)。
今回は、吸入薬の循環器系に対するリスクを検討した、台湾のほとんどの住民を包括する健康保険データベースを用いた症例対照研究を紹介したい(JAMA Intern Med 2018年1月2日オンライン版)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










