吸入ステロイドは肺がんを減らす

大規模COPD患者コホート研究から

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研究の背景:COPD患者は肺がんリスクが高い

 言うまでもないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は一般集団と比べると肺がんを発症するリスクが高い(Prim Care Respir J 2014;23:38-45)。これは両疾患とも喫煙によって起こるので当然だが、実は非喫煙者においても肺気腫は肺がんのリスクを高めるとされている(Am J Respir Crit Care Med 2007;176:285-290)。そのため、喫煙歴を問わず、肺気腫は肺がんの独立したリスク因子と考えられている。

 今回取り上げる研究は、大規模COPD患者コホートから肺がんを発症した人を抽出し、後ろ向きにリスク因子を調べたものである(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2018;13:1833-1839)。前向きでない点には注意しなければならないが、スウェーデンの有名コホートからの研究であるため、一読に値する。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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