アトピー性皮膚炎の"持ち越し"をどう防ぐ?

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研究の背景:10歳以降にキャリーオーバーすると寛解は望みにくい

 小児アトピー性皮膚炎(AD)の多くは10歳前後までに寛解する。しかし一方で、2~3割が成人までキャリーオーバーすることも報告されている(Br J Dermatol 2014; 170: 130-135J Am Acad Dermatol 2016; 75: 681-687.e11)。

 そして最近実施されたメタアナリシスは、12歳以降まで持ち越したADはほぼ自然寛解しなくなってくるという結果を報告している(Allergy 2018; 73: 696-704)。

 すなわち、10歳以降にキャリーオーバーしたADはなかなか寛解が望みにくくなってくるとまとめられるだろう〔もちろん治療自体を否定していないし、症状を安定化させることも可能で、最近は生物学的製剤により状況は変わってきている(Am J Clin Dermatol 2018; 19: 145-165)〕。

 ADの発症リスクには、両親のADの既往歴(Clin Exp Allergy 2003; 33: 1226-1231)、出生した季節(Allergy 2016; 71: 1626-1631)、水の硬度(J Allergy Clin Immunol 2017; 139: 1568-1574. e1)などが報告されている。

 しかし、発症した後の小児期のADがキャリーオーバーする因子をつかむことができれば、さらに介入を重点的にできるかもしれない。

 そこで、未就学児期のADが13歳以降まで続く因子を検討した出生コホート試験の結果(JAMA Dermatol 2019; 155: 50-57)を紹介したい。

堀向 健太(ほりむかい けんた)

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科医師。1998年、鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院および関連病院での勤務を経て、2007年、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)アレルギー科、2012年から現職。
日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会専門医・指導医。
2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初の保湿剤によるアトピー性皮膚炎発症予防に関する介入研究を発表。2016年、ブログ「小児アレルギー科医の備忘録」を開設し出典の明らかな医学情報の発信を続けている。

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