在宅には必要な残薬もある 薬剤師必見!残薬管理この一手! Life happy well 福井繁雄 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする LIFE HAPPY WELL福井 繁雄 19歳のある日、「薬飲んだら頭痛くなるんよ」という祖母の一言をきっかけに、残薬について考えるようになった僕。それから薬剤師になり、残薬解消のための活動を始めた。 このコラムでは、薬局薬剤師の僕が、在宅や薬局での業務の中で行った残薬に関する取り組みを紹介する。僕の奮闘記が全国の薬剤師の励みになるだろうかーー。 この記事のポイント お薬手帳を使わない手はない! 在宅には必要な残薬もある 残薬に助けられた患者さん お薬手帳を使わない手はない! 残薬管理において大事なこと。それは、薬剤師がきちんと、患者さんの服用薬をフォローすることだ。 そこで役立つのが、お薬手帳。僕も投薬時には必ずお薬手帳をチェックしている。その時、併用薬や残薬も確認している。 最新のシールから5回前くらい前の処方までさかのぼり、気になる薬を読み上げながら、「最近飲んでますか?」と聞く。すると、「もうこの薬は飲んでない」などと患者さんが答えてくれる。減薬したのか、頓服だったのか。花粉症の薬であれば季節限定の処方なのか、一年を通して処方されているかなどを確認できる。 こうしたやりとりから、患者さんの特性や生活習慣が分かる。併用薬も見えてくる。残薬管理では、お薬手帳の効果が大きく発揮される。 在宅には必要な残薬もある 薬剤師の仕事は、薬局内にとどまらない。在宅訪問だ。患者さんのお宅に行くと、初回は大抵、残薬を目にする。ここへの着手から、服薬管理指導が始まる。 患者さんの中には、残薬があるという認識がない方、残薬はどういうものか分かっていない方も多い。「もう飲まないけれど、捨てるに捨てられない」という人もいれば、服薬状況を確認すると、「え!これ飲むの?」と言われることも(飲むために出されているんですけれどね......)。 正直、「飲まないから咳が治らないんですよ」なんて思ってしまうこともある。 「いつのお薬かわからないし、飲んでいないようだから捨てようね」と提案すると、拒まれることもある。 「飲まないけれど持ってるのが安心」という患者さん。残薬が、お守りになっているようだ。 このように患者さんの判断で処分できない残薬がある場合は、まず期限と数を調べる。期限切れのものは、廃棄。期限は切れていなくても残薬が大量な場合には、処方削除を提案する。 残薬が出てしまう原因の一つが、1人1人のコミュニケーション不足だ。なぜ残ってしまったのか。それを考えるだけでも、残薬は減らしていくことができる。 薬剤師同士のコミュニケーション、薬剤師と患者のコミュニケーション、薬剤師と介護者・医療者コミュニケーション、介護者・医療者と患者のコミュニケーション。すべてのコミュニケーションが大切だが、残薬に関しては特に、薬剤師が中心となって他の方々のコミュニケーションを取っていくことが重要と考えている。そのため、僕は、在宅介護のカンファレンスにはできる限り参加している。それから、往診同行の際に処方薬を減らすよう提案する。こうした努力は常にしている。 残薬に助けられた患者さん 最後に、外来患者さんに残薬が役立ったケースを紹介したい。 来局した患者さん、いつも飲んでいるオルメテック10mgがなくなったが、体調の関係で受診できないということだ。家に近い薬局までは何とか来れたが、この距離が限界。病院には行けない、と。 確認すると、以前飲んでいたオルメテック20の残薬があった。それを半分に割って飲むように提案した。後日確認したら、血圧は安定し頭痛も治ったそうだ。 こうした場合、本来は在宅訪問をして、残薬の状況を確認してから指導すべきだ。しかし、部屋にいれたくないなど、患者さんのさまざまな事情を考慮したうえで、ご自身で割って飲むことを提案した。 医師にはその場で電話して、「残薬を使いたい。用量は処方箋と変わりませんが、オルメテック20mgを半分に割って飲んでもらうよう指導しました。ほかに必要な対応はありますか?」と確認をとった。 患者さんが、自分の残薬を把握していたからできた対応だった。 【福井繁雄氏プロフィール】 薬学部卒業後、透析、CKD、ガン専門の薬局に13年勤務し、現在は在宅医療に関わっている。学生時代から行ってきた家族(特に祖母)のお薬管理を通じて、残薬管理に疑問を持ったことが、在宅医療に関わるようになった理由。これまでの経験を他の薬剤師にも生かしてもらいたいと、全国での研修会を月一回、行っている。自身は、生後3週間でアトピー性皮膚炎を発症し、リバウンドも経験。アトピー罹患者としての講演も行っている。 【研修会】 日本薬剤師研修センター認定の研修を月1回開催しています。開催スケジュール:日本薬剤師研修センター受講シール2単位取得研修会(LIFE HAPPY WELL) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×