疼痛で麻薬以外に有効なのはNSAID、アセトアミノフェン、抗うつ薬、抗てんかん薬 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 本日の総説はN Engl J Med (2019; 380: 2440-2448)の「麻薬を用いない疼痛コントロール(総説)」です。 最重要点は次の10点です。 麻薬の代わりにNSAID+アセトアミノフェンは有効 慢性痛に麻薬の効果は少なく、耐性、依存、傾眠、記憶障害、集中力低下を起こす 慢性痛に認知行動療法や鍼・マッサージのエビデンスレベルは低い 麻薬以外に鎮痛に有効なのはNSAID、アセトアミノフェン、抗うつ薬、抗てんかん薬 抗うつ薬の神経障害性疼痛5割減のNNT:トリプタノール3.6、サインバルタ6.4 抗てんかん薬の神経障害性疼痛5割減のNNT:リリカ7.7、ガパペン7.2 坐骨神経痛へのリリカはN Engl J Medで2017年に完全否定、神経障害性疼痛と機序異なる? 坐骨神経痛は無治療でも3カ月で疼痛は半減する テグレトールは三叉神経痛の第一選択、NNTなんと1.7!!! 局所リドカインパッチ、カプサイシンパッチあり。脊髄刺戟治療の効果は不明 昨年(2019年)のLancetとN Engl J Medに麻薬使用の総説がありました。この主張を一言で言うと「手術後、外来での麻薬投与を中止せよ!」です(関連リンク1)。 現在、米国では麻薬処方が2倍から3倍に増え、それにつれて麻薬による死亡はなんと4倍に増加しました。1999年から2017年の間に米国では麻薬中毒で70万人が死亡、現在24歳から34歳までの死亡者の5人に1人は麻薬によるのです。米国ではこれを「opioid epidemic」と呼び、深刻な社会問題となっています。 米・オクラホマ州はJohnson & Johnson社(オキシコドン製造)とその子会社Janssen(フェンタニルパッチ製造)を「麻薬の危険を軽く見て麻薬を販売し不当な利益を上げた」と告訴し、2019年8月に裁判所は5億7,200万ドル(1ドル106.9円として611億2,964万円)の賠償を命じました。麻薬中毒の公費負担を製薬会社が負担せよというのです。米国では安易に麻薬が外来で処方され、それが譲渡、売買された結果、麻薬中毒が大変な社会問題になっているのです。 「麻薬は適切に使えば中毒性はない」なんて嘘です。量が多いと早くも5日目から依存性が始まります。国内でもトラマール、ワントラム、トラムセットが外来で安易に処方できるようになり、とても他人事とは思えません。今の米国を見ると数年後の日本を見るような気がして気が気ではありません。一刻も早く厚生労働省が介入することを願います。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×