血糖管理に革命を起こす2つのツール

CGMデータを読み解く「AGP」と「APダッシュボード」

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:CGMが当たり前になってきた!

 現在でも、ほとんどの日本の糖尿病専門医は、(空腹時あるいは食後)血糖値とHbA1cを指標として糖尿病患者の血糖管理状況を把握している〔患者の状況によってはグリコアルブミン(GA)や1,5-AGを使う場合もあるが、まれである〕。

 しかし、技術の進歩により、持続グルコースモニター(CGM)がかなり普及しつつある(関連記事「持続的ブドウ糖モニターの臨床的有効性」)。一方で、このCGMのデータはあまりに膨大過ぎて、どのように読み込み、どのように治療方針の決定に利用すればよいのかが分からないというのが、正直な私自身の現状である。他の糖尿病専門医もそうであるのか、現在CGMメーカーが開催するオンラインセミナーが花盛りである。

 2013年ごろから国際的なCGMの利用法についてのコンセンサスがつくられるようになり(Diabetes Technol Ther 2013; 15: 198-211)、2017年には米国糖尿病学会(ADA)の機関誌Diabetes Careにもそうした内容が掲載された(Diabetes Care 2017; 40: 1631-1640)。ここで使用されるようになったのがambulatory glucose profile(AGP)である。

 このたび、糖尿病医療技術系の雑誌であるJ Diabetes Sci Technol2020; 14: 586-594)にAGPの使用についての臨床勧告が掲載されるとともに、同じく糖尿病医療技術系の雑誌であるDiabetes Technol Ther2020年11月25日オンライン版)にはAGPよりさらに進んでAPダッシュボード(artificial pancreas dashboard)に関する提唱がなされた。

 近い将来における糖尿病患者の血糖管理状況の把握法として、恐らくAGPやAPダッシュボードの使用が日常臨床のレベルになってくるものと私は予測する。そこで、この2つのツールについてご紹介するべく、最新の国際CGM勧告(Diabetes Care 2019; 42: 1593-1603)と併せて、この2本の論文の内容をご紹介したい。

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