感染症の想定外に備える

グローバルヘルスケアクリニック院長 水野泰孝

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コロナ発生当初は想定内の「エピデミック」と認識

 2019年末に中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、瞬く間に世界に拡散し、1年足らずで1億人以上の人々が罹患するパンデミック(世界的流行)を引き起こした。専門家の多くも、現在のような事態に至るとは予測し難く、まさに「想定外」であったことは否めない。

 そもそもCOVID-19が知れ渡ったのは、武漢市の海鮮市場を利用した人々の間で「謎の肺炎」が流行したことから、その病原体の解析が行われ、新種のコロナウイルス(SARS-CoV-2)と判明したのが発端である。

 コロナウイルスは呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであり、重症化せずに自然治癒することが多く、初期の報告事例も同様の印象であった。また、発生当初は同市内の海鮮市場利用者が感染の中心で、ヒトーヒト感染は限定的だったため、多くの専門家は想定内の「エピデミック(一定期間に一定の人口に流行する)」という認識を持っていたと推測する。

水野 泰孝(みずの やすたか)

グローバルヘルスケアクリニック 院長

東京慈恵会医科大学大学院(熱帯医学)修了。在学中にタイ王国・マヒドン大学熱帯医学部にてDTM&H取得。国立国際医療研究センター国際疾病センター(現・国際感染症センター)厚生労働技官、在ベトナム日本国大使館医務官、国際協力機構(JICA)感染症顧問医、東京医科大学准教授・同大学病院感染制御部長、感染症科診療科長、国際診療部長を歴任し、2019年より現職。日本感染症学会評議員、日本熱帯医学会評議員、日本渡航医学会評議員、日本小児科医会国際委員長、JICA海外ボランティア研修感染症講師を務める。


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