「心理的ストレスによる発熱」という疾患概念は、診断学においてはいまだコンセンサスが得られていないと思われる。しかし、総合内科、心療内科、精神科などから東洋医学科に紹介される患者の中には、器質的疾患のない発熱や熱感を主訴とする方もいる。もともと東洋医学の診断体系には"心因性発熱"という概念があり、そのような患者群に対応してきた。一方、現在では"心因性発熱"の知見が蓄積されつつある。実際の病態について、これまでの報告を踏まえて考察してみたい。