ザンビアの無医村についに診療所が開院!

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

〔編集部から〕この連載では、国際医学生連盟 日本(IFMSA-Japan)のザンビア・ブリッジ企画の活動を追っている。活動とは、ザンビア共和国の無医村・マケニ村にヘルスポスト(診療所)を建設し、医療を根付かせる取り組みだ。このたび医学生たちの志が結実した。同企画の代表・宮地貴士氏が秋田大学医学部を卒業したのを機に連載としては終了するが、適宜続報を発信していきたい。

看護師1人で感染症、外傷、通常分娩まで対応

 今年(2022年)2月28日、ザンビア共和国マケニ村に診療所が開院した。われわれ日本の医療系学生が組織したザンビア・ブリッジ企画と現地住民、ザンビア保健省によるプロジェクトの成果だ。これまで、マケニ地域に住む住民たち約5,000人は、15kmほど離れた診療所へ片道4時間かけて通っていた。村で医療を担っていたのは保健ボランティアのみだった。ボランティアはアセトアミノフェン、経口補水液、アモキシシリン、抗マラリア薬であるコアルテムの4種類しか扱うことができず、対応できる疾患も限られていた。新しい診療所によって、マケニの人々はいつでも近場でプライマリケアを享受できるようになる。

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 診療所の開院から2週間で、合計250人の住民が利用した。主な疾患は、上気道感染症160人、関節痛などの整形外科的疾患34人、皮膚感染症14人、下痢15人であった。他には、虫歯、結膜炎や扁桃炎、外傷や火傷、梅毒や女性器のカンジダ症なども見られた。

 この診療所にはアモキシシリンやペニシリン、セフトリアキソンやシプロキサン、ゲンタマイシンなどの抗生物質が7種類、カンジダに対する抗真菌薬やビルハルツ住血吸虫症に対する抗寄生虫薬なども備えている。近年増加する薬剤耐性マラリアへの対応のため、コアルテムに加えて、ファンシダール、キニーネ、アルテスナートなどもある。亜鉛や鉄といった栄養剤投与、生理食塩水の点滴、胃炎に対するオメプラゾール、外傷に対する縫合処置なども可能だ。マラリア、梅毒、HIVといった感染症の迅速診断、血圧、ヘモグロビン濃度、血糖、尿試験紙といった各種検査も行うことができる。さらには、通常分娩もこの施設で行っていくことになる。

 驚くべきことに、ザンビアではこのような施設の運営は、保健省から派遣された看護師1人が担う。日本とは違い、薬の処方や縫合処置、通常分娩の対応などは看護師が行うことが可能だ。マケニ診療所に派遣されたのは27歳の男性看護師、ダカさん。奥さんと2人でマケニ村に移住し、地域住民のために休むことなく働いてくれている。

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