急性冠症候群の診断と治療(付:スターリングラード攻防戦の教訓) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする JAMA(2022 Feb.15; 327:662-675)の総説(Review)が「急性冠症候群(ACS)の診断と治療」でした。主著者はインド系の米・ハーバードの医師です。Boston Latin Schoolを主席卒業、MITで科学の学位取得、コーネル大学医学部卒業後、クリーブランドクリニックで修行したようです。N Engl J Med(2017 May 25; 376: 2053-2064)とLancet(2017 Jan 14; 389: 197-210)にも急性心筋梗塞の総説がありました。この5年で、さては何か進歩があったのかと焦って読みましたが、結論から言うとあまり変化はありませんでした。ただ従来、女性のACSは非典型的(atypical)症状が多いとされましたが最近、この性差は症状の陳述(descriptions)、解釈(interpretations)の違いであって実際の症状の差ではなく、女性の症状はもはや非典型的とはいえないそうです。 ただし「老人、糖尿病でのACSは胸痛よりも息切れを呈することが多い」ことは事実です。というわけでACSを疑ったら胸痛だけでなく息切れの確認も重要なようです。それ以外はこの5年間での進歩はほぼありませんでした。 JAMA「急性冠症候群の診断と治療」総説の最重要点は下記17点です。 ST↑は冠動脈閉塞、ST↓は狭窄でトロポニン陽性ならNSTEMI、陰性は不安定狭心症 到着10分内にECG、トロポニン検査でSTEMI、NSTEMI、Unstable angina鑑別 ACSの7割以上に胸痛。女性症状は非典型的ではない。老人・糖尿病で息切れ多い DM、腎疾患、COVID-19でトロポニン高値。2~3日計測し上・下降なければACS可能性低い STEMIは120分内PCIで死亡率9%→7%。無理ならアルテプラーゼで線溶→24時間以内PCI NSTE-ACSでトロポニン(+)はNSTEMI→PCI、(-)は不安定狭心症→内科治療 禁煙によりACS激減!50歳以下ACSの10%はコカイン・マリファナが原因、中毒検査せよ ACS原因:プラーク破裂>プラークerosion>石灰結節(予後不良)>攣縮、解離、塞栓、MINOCA 心筋梗塞は冠動脈50%以下狭窄で突然起こる。安定狭心症は心筋梗塞起こしにくい 5割以上狭窄診断に冠動脈造影CTはCAGに匹敵。PPV 87.9%、NPV 90.9% 4,041例のPCIで、全冠動脈 対 単一治療で死亡・MI再発は7.8%対10.5% 心カテは大腿動脈より橈骨動脈推奨、圧迫容易、後腹膜出血なく動静脈廔少ない 抗血小板薬:バファリン81初回4T→以後1T、他にプラビックス、エフィエント、ブリリンタなどDAPT1年 ACSで多い大出血は胃腸出血。PPI有効 抗凝固薬(副作用ワーファリン>プラザキサ、エリキュース、リクシアナ、イグザレルト)はAf、左室血栓、左室瘤で ACS全例スタチン(リピトール、クレストール)投与→LDL≧50でゼチーア追加→LDL≧70でレパーサ皮下 ACSでその他推奨はACE/ARB、EF≦40%でエンレスト、アルダクトン/セララ、β遮断薬、SGLT2阻害薬 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×