〔NEJM解説〕減圧症と動脈ガス塞栓症:西欧回覧実記、真珠湾攻撃 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする N Engl J Med(2022 Mar 31; 386: 1254-1264)に「減圧症と動脈ガス塞栓症」の総説(Review Article)がありました。最近、知床半島沖深さ120mの海底に沈没した観光船KAZU 1に対し飽和潜水が行われ大きな注目を集めました。 当西伊豆健育会病院でも減圧症は時々搬入されます。 トップジャーナルで以前、減圧症が扱われたのは下記2011年のLancetでした(関連記事1)。 今回の総説を読んで驚いたのは、2011年と治療が何も変わらず進歩がないことでした。高圧チャンバーでの再圧手順も1970年代以来のU.S. Navy Diving ManualのTable 6のままで実に50年変わっていません。潜水技術は向上したのでしょうが、減圧症治療は進歩がありません。 著者はニュージーランド、オーストラリア、米・デューク大学高圧・環境生理学医学研究所の医師たちです。 N Engl J Medの「減圧症と動脈ガス塞栓(総説)」最重要点は次の15点です。 減圧症は組織N2で静脈内気泡。動脈ガス塞栓症は肺ブラなど1m浮上で破裂、動脈内気泡 静脈は小気泡で血管内皮剝離→血漿漏出。ASD、PFOで動脈ガスに。脳は血流↑で大気泡 減圧症と動脈ガス塞栓症の鑑別は困難、治療は同じで減圧症に両者を含めることも 最も権威ある減圧症マニュアルはU.S. Navy Diving Manual, Revision 7(2016) 飽和潜水:DDC加圧1日、bellで海底往復、減圧は30m当たり1日かける。ヘリウム混和 減圧症は臨床診断!水深6m以上、99%が6時間内発症。ダイブ後異常は常に減圧症考慮 症状:筋骨格痛、発疹、網状斑、痒み、痺れ、皮下腫脹、麻痺、めまい、耳鳴り、脳症状、胸痛、咳 ダイバーは症状隠す、完全神経学検査を!高感度は(sharpened)Romberg's sign 動脈ガス塞栓症(6.5%)は肺ブラなど破裂、浮上5分内発症!胸部X線確認、胸痛、喀血、脳症状 鑑別:シガテラ(沖縄フエダイ、dry ice感覚)、麻痺性貝毒、フグ(筋肉OK、皮・精巣注意) 治療:臥位で高濃度O2、浸水利尿で脱水→補液、搬送高度<300m、決定的治療は再圧 治療(海軍表6)はO2で再圧2.8気圧→5時間ほどで1気圧、空気吸入5回挟みO2中毒予防 再圧不能時フルフェースマスクで水中再圧。O2中毒の痙攣注意。軽症は酸素、輸液、NSAIDで 治療:酸素。皮膚型は再圧不要。四肢、中枢神経、脊髄、内耳、呼吸循環型、ガス塞栓症は再圧 急上昇>5,500mで減圧症。前もってO2吸入。発症時は酸素、輸液、再圧 関連記事1 減圧病 The Lancet, Jan 8, 2011 (西伊豆早朝カンファ) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×