市中肺炎に全身性ステロイドは容認されるか?

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研究の背景:我流の治療が散見

 市中肺炎の治療のキモは、適切な抗菌薬を投与することに尽きる。全身性ステロイドを併用することはルーチンには推奨されないプラクティスであるが、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息の増悪を合併している場合はこの限りでない。とはいえ、呼吸器内科領域では「酸素飽和度が低ければ全身性ステロイドを"かませる"」という我流の治療が散見されるのも事実である。ガイドラインによっては、重症例には使ってもよいとする地域もある(J Thoraci Dis 2017; 9: 1469)。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、中等症Ⅱ以上に対してデキサメタゾンが使用されており、感染症としては一定のエビデンスを示した代表的な疾患である。

 さて、今回紹介するのは、成人市中肺炎に対する全身性ステロイドの有効性と安全性を評価したランダム化比較試験のシステマチックレビューとメタ解析である(Chest 2022年9月7日オンライン版)。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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