ED治療薬は心臓に良い!

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研究の背景:患者の多くは「EDの治療薬PDE5阻害薬は体に悪い」という都市伝説を信じている。その真実は?

 周知の事実であるが、勃起不全(ED)に対しては、バイアグラ(一般名シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)といったホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬が非常に効果的である。『ED診療ガイドライン』にも掲載されているが、心因性や器質性いずれの原因に対しても、「とりあえず"PDE5阻害薬"を使おう」ということがコンセンサスとなっている。ほとんど、居酒屋に行って「とりあえずビール」と頼むのと同じノリで、医師はこれらの薬剤を処方している。それほどPDE5阻害薬はEDには極めて有効かつ安全に使える薬剤なのだ。

 しかし先日、とある週刊誌を読んでいたら、芸人のケンドーコバヤシさんが「バイアグラは心臓によくないみたいな話を聞いている」といった内容の発言をしていた。実際の臨床現場でも、これらの薬を処方する際は、患者から「体に悪いんですよね?」といった質問をされることが少なくない。多くの患者が、「バイアグラは体に悪い」といった都市伝説を信じ込んでいるのである。これは、有名人が体に悪いとか、心臓がバクバクして救急車で運ばれたとか、大げさに話をしていることによる影響だろう。

 ここで私が声を大にして言いたいのは、「バイアグラをはじめとするPDE5阻害薬は体に良い!」ということだ。

  ED患者に処方されるPDE5阻害薬は、血管内皮機能を高めるとともに血管内皮前駆細胞数を増加させることが証明されており、血管内皮の再生を高めることも知られている。それならば、「ED治療薬であるPDE5阻害薬自体が、心臓に良いのでは?」という仮説を証明し検証したのが今回の論文である。

Effect of phosphodiesterase type 5 inhibitors on major adverse cardiovascular events and overall mortality in a large nationwide cohort of men with erectile dysfunction and cardiovascular risk factors: A retrospective, observational study based on healthcare claims and national death index data. J Sex Med 2023; 20: 38-48

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