結核新時代、専門病床・専門医は不要に?

結核病床を全て廃止した県がある!

東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門 特任教授/
公益財団法人宮城県結核予防会 理事長 渡辺 彰

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初めに:低蔓延国ゆえの新たな課題が出現

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の出現前、単一の病原体による世界の死亡者数の第1位は結核であった。今も1年間に約1,000万人が発病し、150万~160万人が死亡している。

 幸いわが国では順調に減少しており、2021年には罹患率(人口10万人当たりの1年間の新規結核患者数、以下同)が9.2と初めて10を切った(患者数は1万1,519人)1)。結核低蔓延国に仲間入りしたのであるが、その疫学や発症病態は以前と様変わりしているとともに、低蔓延ゆえの新たな課題も生じている。患者数の減少による結核病棟の不採算化のさらなる進行、その対応としての結核病棟の閉鎖に伴う患者収容先の確保の困難化などであり、結核患者を隣接他県に紹介・入院させざるをえない事態も起こり始めた。

 本稿では、様変わりした結核の現状を紹介し、併せて、あるべき結核医療体制を展望する。

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