特発性器質化肺炎の自然治癒条件とは

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研究の背景:全身性ステロイドが著効、しかし全例に必要か?

 特発性間質性肺炎の中に、特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia;COP)という疾患がある。いまだに知名度が非常に低いが、「OP」という言葉を耳にしたことがある人は結構多いのではないだろうか。

 器質化肺炎というのは、放射線学的・病理学的な用語であり、病態をイメージしづらいことが市民権を得ていない理由だが、肺胞から肺胞近くの細気管支にかけて炎症・肺胞腔内のポリープ状の器質化組織が見られることが特徴的であるものの、原因はいまだによく分かっていない。

 「特発性」と名の付く疾患は基本的に原因不明であるが、COPについては幾つか分かっていることがある。その1つが、全身性ステロイドが著効することである。COPの予後は非常に良く、再発を繰り返すことはあるものの、呼吸器内科医としてもあまりコワイと感じる瞬間がない疾患でもある。例外的に、呼吸不全を来す急性線維素性器質化肺炎(acute fibrinous and organizing pneumonia;AFOP)という病態もあるが、本稿では割愛する。

 COPは一見、市中肺炎と見分けがつきにくい。両肺にまたがる陰影であることや、移動性の陰影、斑状コンソリデーション+すりガラス陰影を来すことから、「なんとなく違う」という直感で判断することは可能だが、気管支鏡検体がなければCOPの診断は困難である。

 そんなCOPの唯一の治療法は全身性ステロイドだが、自然軽快例も存在することから、そもそも全例に投与する意義があるのか、長らく不明であった。

 今回は、この臨床課題を検討した日本の研究を紹介したい(Medicine 2023; 102: e34277)。

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