小児の酸素飽和度は何パーセントがよい?

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研究の背景:酸素療法に存在する「過ぎたるは猶及ばざるが如し」

 一般的に呼吸困難のある小児では、動脈血酸素飽和濃度(SpO2)閾値の90~94%を下回れば酸素療法の適応となることが多い。いろいろな指針があるが、基本的には90~94%の間で変動しているのが現状である(SIGN158:British guideline on the management of asthma 2019など)。ただ、これらのガイドラインにおける最適値は、エビデンスというよりもエキスパートが定めてきた部分が多かった。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」は、酸素療法の世界には明確に存在する。例えば、小児集中治療室(PICU)に入室して24時間以内のSpO2を95%以上に設定すると、多臓器機能障害や死亡リスクを上昇させる可能性がある(Pediatr Crit Care Medi 2022; 23: 89-98)。

 不必要に高いSpO2に設定することで、患者アウトカムの悪化だけでなく医療コスト面での増大も危惧されることから、できるだけ適正なSpO2設定が求められている。

 そこで、現在パブリッシュされている文献のシステマチックレビューを紹介したい(ERJ Open Res 2023年7月27日オンライン版)。

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