新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下コロナ)の感染症法における位置付けが今年(2023年)5月8日に2類相当から5類に移行されて以降、各種感染症が季節外れの流行となっている。インフルエンザしかり、咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)しかりであるが、これまで20年以上順調に減少してきた結核にも増転兆候が見られている。以下、日本におけるこれまでの結核疫学の歴史を概観し、再び増転傾向がうかがわれる結核の現状とその理由について考える。