ラゲブリオ、薬価引き下げとなるも有用性に期待

EUでの承認申請取り下げを含めた低評価の事情と今後の位置付け

東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門 特任教授/
公益財団法人宮城県結核予防会 理事長 渡辺 彰

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 今年(2024年)3月13日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)は費用対効果の点で「費用増加」と評価され1)、7月1日から薬価が8.2%引き下げられることになった(1錠当たり2,357.8円→2,164.9円)2)。COVID-19に対する標準治療にモルヌピラビルを併用投与しても入院や死亡のリスクは低下せず、余分な費用がかかる、と判断されたのである。昨年6月には、欧州医薬品庁(EMA)が「モルヌピラビルは臨床現場における有用性が証明されていない」として不承認勧告を出し、製造販売元の米・メルク社は承認申請を取り下げている。本稿ではこの間の事情を深掘りし、モルヌピラビルの有効性に関する是非と今後の可能性について迫る。(関連記事「コロナ公費打ち切りで予防・治療に懸念」)

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