マクロライドか、テトラサイクリンか

市中肺炎、β-ラクタムとの併用薬

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)

研究の背景:市中肺炎の適切な抗菌薬併用療法は?

 今回も市中肺炎(CAP)の論文だ。CAPとか、尿路感染とか、こういう「当たり前の病気」が案外、難しい。分かっていないことも多い。

 つまり、古典的な「アジスロマイシンか、ドキシサイクリンか」問題である。

 β-ラクタム系抗菌薬に併用する「第二の抗菌薬」としてはマクロライド系抗菌薬が推奨され、テトラサイクリン系抗菌薬は「代替案」である。しかし、マクロライド耐性菌と副作用がネックになる。そして、臨床現場ではドキシサイクリンをCAPに使うプラクティスが普及してきた。安価で、比較的副作用が少ないドキシサイクリンは使いやすかったのだ。しかし、β-ラクタム+ドキシサイクリンのCAPに対する効果を吟味したエビデンスは乏しい。

 今回紹介する論文は、そういう「分かっているようで、案外分かっていない」こと、例えばCAPの適切な治療、に肉薄した論文だ。

Odeyemi Y, et al. Comparative effectiveness of azithromycin versus doxycycline in hospitalized patients with community acquired pneumonia treated with beta-lactams: A multicenter matched cohort study. Clin Infect Dis 2025 May 16: ciaf252. 

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より現職。著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

岩田 健太郎
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