「アメリカファースト」という言葉には食傷気味だが、最近は日本でも「日本人ファースト」というスローガンを掲げる政党が一定の支持を集めている。移民の大量流入によって社会的混乱を経験した欧米諸国で排外的な政策が支持されるのは理解できる。しかし、日本はそもそも移民や難民に厳しい政策を取り続けてきた国であり、いわば「今も昔も日本人ファースト」である。このように根拠の希薄な排外的政治理念については賛否両論あるだろうが、特定の対象を画一的に優先する「〇〇ファースト」という短絡的な思考には違和感を覚えざるをえない。 さて近年、骨粗鬆症治療において「アナボリックファースト」という概念がアカデミアや製薬企業によって喧伝され、骨粗鬆症と診断された患者に対し、治療の初期段階から骨形成促進薬が第一選択として使われるという風潮が国内で広がりつつある。