梅毒はいかに治療すべきか?

古くて新しい問題

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)

研究の背景:HIV感染を伴う梅毒、供給不安定なBPGの3回筋注は妥当か?

 早期潜伏梅毒(第1期、第2期)の標準的な治療戦略はベンジルペニシリンベンザチン(ベンザチンペニシリンG:BPG)240万単位の単回筋注である。が、1950年代前半から存在するこの古い治療はエビデンスが乏しい。特にHIV感染を伴う場合、本当にこれでよいのかという懸念が残る。そこで、多くの臨床医は晩期潜伏梅毒に対する1週ごとに「3回」の筋注治療を行ってきた。とはいえ、全世界的に梅毒は増えている。BPGの供給は不安定だ。よって、費用効果の高い治療法を優先するのは当然である。

 というわけで、今回は、この古いプラクティスの効果を検証すべく実施された臨床試験を紹介する。

Hook EW, et al. One Dose versus Three Doses of Benzathine Penicillin G in Early Syphilis. N Engl J Med 2025; 393: 869-878.

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より現職。著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

岩田 健太郎
  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする