秋田大学は昨日(11月4日)、2型糖尿病治療薬GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名マンジャロ)について同大学病院と中通総合病院(秋田県)が共同で行った後ろ向き観察研究の結果を公開。「チルゼパチドによる治療は、血糖値や体重だけでなく『食事療法の満足感』も改善した」と発表した。(関連記事:「ゼップバウンド、日本人肥満例の健康関連QOLが改善」) 対象は、秋田大学病院または中通総合病院で登録された、チルゼパチドによる治療歴が120日以上で18歳以上の2型糖尿病外来/入院患者95例。チルゼパチドによる治療前後の臨床指標(HbA1c、体重など)の他、質問票による食事関連の生活の質(QOL)および治療満足度を評価した。 解析の結果、治療前後のHbA1c中央値は7.4%→6.4%へ、体重中央値は77.2kg→70.6kgへと改善が見られたことに加え、「食事療法の受益感」(食事療法が自分の健康や糖尿病治療に役立っていると感じる度合い)が有意に向上していた。さらに統合解析の結果、「食事療法の受益感」の改善は体重減少と同程度に治療満足度の向上と関連していることが示された(図)。 図. 「食事療法の受益感」と治療満足度の関連 (秋田大学プレスリリースより) 以上を踏まえ、研究グループは「患者はチルゼパチド投与によって『食事の楽しみが減る』というよりも、 『食事療法によって健康的で糖尿病治療に良い影響がある』と前向きに感じていることが示唆された。治療中のQOLの向上は、治療継続を図る上で大きな意義を持つ」と結論。詳細はDiabetes Res Clin Pract(2025; 229: 112913)に掲載された。