標準的治療法が未確立で患者が急増していることから世界的に問題となっている,左室駆出率(LVEF)が保持された心不全(HFwithpreservedEF;HFpEF)に対し,スタチン投与が死亡率を低下させる可能性が,第2次東北慢性心不全登録観察研究(CHART-2)で明らかにされた。今回の結果をまとめた,東北大学循環器内科の後岡広太郎氏らは,傾向スコア(Propensityscore;PS)を用いた解析手法で交絡因子を調整後も,スタチン内服はHFpEF患者の3年全死亡率を低下させ,特に突然死および感染症死のリスク減少と有意に関連することをCircJ(2015;79:574-582)に報告。一方,LVEFが低下して発症する心不全(HFwithreducedEF;HFrEF)については,これまでの大規模臨床試験の結果と同様,スタチン治療による有益性との関連は示されなかった。