ヒトおよびマウスの動脈硬化による慢性炎症には,先天免疫に加えて,T細胞を介する獲得免疫応答が重要な役割を果たすことが知られている。制御性T細胞(Treg)は動脈硬化に保護的に働くことが実験的に確認されているが,ヒトの冠動脈疾患(CAD)発症機序にTregがどのように関与するのかは分かっていない。神戸大学循環器内科の江本拓央氏らは,ヒトTregを正確に同定するための最新の手法を用いて,安定CAD患者の末梢血T細胞を解析。健康人を対照として比較すると,CAD患者ではTreg,および制御性T細胞/エフェクターT細胞(Treg/Teff)比が有意に低下していることをCirc J(2014;78:2935-2941)に報告。これらの所見は,CAD患者における免疫のアンバランス状態を反映したものと考えられるという。