脂質検査は随時採血の時代へ

欧州2学会の合同声明と米国での反響

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研究の背景:「脂質検査は空腹時に行う」がこれまでの常識

 わが国の健診システムは世界でもまれに見る疾病早期発見のシステムであり、メタボリックシンドロームから心血管疾患、がんといった疾病の早期発見・治療に役立っていると思われる。

 さて、その際の採血は、原則的に空腹時に行われることが多い。それは単に腹部画像検査のためというばかりではなく、血糖値やトリグリセライド(TG)値のように空腹時の基準値で是非が判定される指標が採血項目にあるからである。実際、日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012』(p13)でも『脂質異常症治療ガイド2013』(p22)でも、早朝空腹時採血を原則としている。一方で、血糖値などは食後高血糖の方が空腹時血糖値のはるかに前から異常を来しやすいことから、血糖異常のスクリーニングには食後採血の方がよいのではないかという議論がある。

 このたび、脂質検査についても空腹時にこだわる必要はなく随時でよいであろう、との合同声明が欧州動脈硬化学会と欧州臨床化学検査医学会から発表され、Eur Heart J2016年4月26日オンライン版)に掲載されたのでご紹介したい。

山田 悟(やまだ さとる)

1994 年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。 現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指 導医。

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