周術期リスク評価は4 METs? 臨床指標? それともCT?

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研究の背景:ガイドラインは4 METs

 循環器内科の外来をやっていると「この患者さん手術して大丈夫ですかね?」という依頼は結構多い。こうしたとき、ついつい「じゃあ検査をやってみましょう」という方向に話が流れがちであるが(ダブルマスターとか)、最近の各国のガイドラインはそうした方針におおむね反対する方針を掲げている。その中でも最もradical(急進的)なのは米国のガイドラインではないかと筆者は思うが、一言でその内容を集約すると

「4 METs の日常活動ができれば、術前検査はほとんど必要ない」

ということになっている。要するに患者さんが庭掃除や複数階の階段昇降ができることを確認できれば(≒4 METs)、ほとんどの手術に踏み切って構わないということである。

 ただ、当然この方法ではfrailtyの高い(例えば寝たきりの)患者の評価はできない。そういう方々が実はハイリスクなのであって、評価が必要なことは言うまでもない。各国のガイドラインでは、そのようなときはRCRI(Revised Cardiac Risk Index;改良心血管リスク指標)などの臨床指標を使うように推奨されている。上記のRCRIでは、

  1. 虚血性心疾患
  2. 心不全の既往
  3. 脳血管障害の既往
  4. インスリンが必要な糖尿病
  5. 腎機能障害
  6. 高リスク手術かどうか(例:血管手術)


という6項目の評価を行い、3つ以上が該当する場合の心血管系の合併症発生率は極めて高く(非心臓手術で 9%程度)、これに対して1つも当てはまらない場合は合併症発生率が極めて低い(同0.5%)ことが知られている。ただ、やはり完璧なものではなく、低リスク患者でリスクを過小に、そして高リスク患者でリスクを過大に見積もってしまうことが大きな弱点であった。

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