脳卒中急性期診療の均霑化

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【未解決の背景】脳卒中診療システムの地域差が大きい

 脳卒中は寝たきりの原因の第1位、認知症では第2位であるが、わが国の脳卒中急性期診療体制の構築は専門医や専門施設に一任されている。遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)が投与できる一次脳卒中センター、血管内治療や高度の脳外科治療が行える包括的脳卒中センターは各地域で十分に整備されておらず、脳卒中急性期診療の均霑化がなされていない。

 また、昨年(2016年)6月に厚生労働省健康局がん・疾病対策課に「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」が、8月には「心血管疾患に係るワーキンググループ」と「脳卒中に係るワーキンググループ」が設置され、その提言によるrt-PA投与の施設基準改定が日本脳卒中学会で行われた。さらに同学会と日本循環器学会が共同で策定した「脳卒中と循環器病克服5カ年計画 ストップCVD(脳心血管病)健康長寿を達成するために!」(脳卒中と循環器病克服5カ年計画、昨年12月公開)の中で、rt-PA治療実施率10%の実現を目標値に定めたが、全国で悉皆性のあるデータを集積することができず、治療実施率は十分に把握できていない。現在、rt-PAは脳梗塞の5%程度に投与されており、血管内治療を行う施設では10%程度の実施率はクリアできているようである。

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