「大変なところに来てしまった」

在イラク日本国大使館医務官 齋木都夫

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 初めての赴任地ボリビアへ家族と一緒に向かっていたときの出来事です。早朝6時、マイアミ発ラパス行きアメリカン航空AA922便は、高度を下げると雲海に入りました。その雲海を抜けた途端、町の明かりが眼下に広がり、航空機はもう空港に着陸していました。やがてベルト着用ランプが消えた時です。立ち上がって、子供のリュックサックをキャビンから下ろそうとすると、息切れがして力が入りません。日本から子供が持ってきたキャラメルコーンの袋がパンパンになっていました。家族もぐったりしています。「たいへんなところに来てしまった。家族を抱えて、生活できるか?」とゆっくり歩きながら、入国手続きを済ますと大使館派遣員の同僚が酸素ボンベを5本持って待っていてくれました。皆でむさぼるようにマスクを当てたら、一息つけました。空港からすり鉢状に広がるラパスの中心地に向かい、ラパス市内で最低標高のホテルに宿泊して1週間ほど休み、高地順応に努めました。食料の入ったビニール袋を持って、スーパーの階段を5段上るのがつらかったです。

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ボリビア・ラパス市の風景(著者撮影)

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