【最終回】高齢者の"主治医"とは何か

「2人主治医制」のススメ

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

88歳女性:
 もともと、高血圧でA医院(内科)に、変形性膝関節症のためB医院(整形外科)に長らく通院中である。弁膜症による心不全で入退院を繰り返しておりC総合病院の循環器内科に2カ月に1回通院している。白内障がありD医院(眼科)にも時々通院し、1年前から尿失禁がありC総合病院の泌尿器科に通院している。最近、足腰が弱り物忘れがひどいため娘が地域包括支援センターに相談したところ、精神科を受診し認知症かどうか診てもらった方がいいと言われ、独居のため介護保険を申請した方が良いとも言われたという。どの医師が主治医意見書を記載すべきであろうか。

わが国における主治医とは

 厚生労働省による外来における主治医機能の資料によると、わが国では患者の約45%が複数の医療機関あるいは診療科を受診し、複数の"主治医"がいると報告されています。そして、「病気になるといつも相談し診療を受ける医師」を持つ人は3割に満たないそうです。本連載の最終回では、超高齢社会が進展するわが国における「高齢者の"主治医"とは何か」について考えます。

木村琢磨先生

木村 琢磨(きむら・たくま)

北里大医学部新世紀医療開発センター地域総合医療学教授,北里大学東病院総合診療・在宅支援センター長。

長野県生まれ。東邦大学医学部卒業,国立東京第二病院(現国立病院機構東京医療センター)で初期研修,国立病院東京医療センター総合診療科で後期研修,国立病院機構東埼玉病院総合診療科などを経て現職。

高齢者の臨床は「さまざまな症候・疾患への対応」「専門診療科への適切なコンサルテーション」「家族」「地域」を念頭に置く,「多職種との恊働」「継続性」を踏まえるなど総合診療医の持ち味を生かせる,やりがいのある領域であると考えています。本連載では,高齢者の臨床について横断的に考えていきたいと思っておりますので,先生方からの忌憚ないご意見をお待ちしております。

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