背景:安定狭心症にいつPCIを行うか? 以前この連載でも取り上げたが、COURAGE試験という有名なランダム化試験(RCT)がある(N Engl J Med 2015; 373: 1937-1946、関連記事「7時のニュースのトップを飾った臨床試験」)。 このRCTの結果からは「狭窄を見つけた!」というだけで画一的に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行ったとしても、患者の長期的な予後に貢献しないことが分かった。現在では、まず適切な投薬や虚血の領域の評価を行い、その上で「ハイリスク」と判定された症例にのみPCIを行うことがよいとされている。アップデートされた各国の診療ガイドラインでもおおむねその方向での推奨がなされている。 ここの「ハイリスク」かどうかという判断は、だいたい虚血領域の定量的な評価でなされてきた。例えば心臓シンチグラム(SPECT)の場合は負荷をかけたときに10~15%以上の領域で血流の低下が見られたらハイリスク、負荷心エコーならば規定の16領域中3領域以上で壁運動異常が認められる場合、といった塩梅だ。 ここまでのPCIの適応の流れをまとめると、だいたい以下のようになる: 狭窄があったら即座にPCI(1990年代)狭窄があって負荷で虚血があればPCI(2000年代)狭窄があって虚血が重症であればPCI(2010年代)