呼吸器診療で「痩せた患者」を見たら... 痩せるほど非結核性抗酸菌症のリスクは増す 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:無間地獄のスパイラル 羸瘦(るいそう)は、慢性呼吸器疾患を診ている呼吸器内科医にとって避けては通れない壁である。呼吸筋の酸素消費量が増え、代謝は亢進する。その上、肺Mycobacterium avium complex(MAC)症をはじめとする非結核性抗酸菌(NTM)症を合併しようものなら、さらなる慢性炎症にさらされることになる。これがよりいっそうの羸瘦を惹起し、まさに無間地獄のスパイラルに落ち込んでしまう。 2011年、日本において78例の肺MAC症患者が解析された(Intern Med 2011;50:2541-2546)。この報告では、単変量解析と多変量解析の両方において、BMI低下と肺MAC症の広がりが弱く相関していることが示されており、栄養状態(血清アルブミン)が悪いことも疾患進行のリスクであることが示された(表1)。 表1. 肺MAC症患者における疾患の広がりと各種パラメータ (Intern Med 2011;50:2541-2546) 韓国においても、肺MAC症進行の危険因子として、血清アルブミンや腹部の脂肪量が挙げられている(BMC Pulm Med 2017; 17: 5、表2)。これは日本においても、同じような理解でよいだろう。 表2. 肺MAC症進行の危険因子 (BMC Pulm Med 2017; 17: 5) 多くの医師は、気管支拡張症が重度であるほどBMIは低く、BMIが低いほど気管支拡張症は重度であると認識しており、肺MAC症がその関連性を助長していることはほぼ確信に近いだろう。しかし、欧米では気管支拡張症といえばまず嚢胞性線維症にスポットが当たることが多く、実はこの関連についてのデータが多くないのも事実だった。 また、簡便に用いることができる指数であるBMIが、肺MAC症などNTM症の真の危険因子であるかどうかは検証が必要だった。そこで行われたのが、今回紹介する韓国の研究である(Eur Respir J 2020年10月15日オンライン版)。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×