薬剤師のためのがん治療用語/stage(ステージ)

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用語の意味を把握しよう!

「stage(読み:ステージ)」ってなぁに? (1)、(2)のどちらの意味でしょう。
(1)聖人名「Saint Agnes(聖アグネス)」を大胆に省略した表記法で、あまり使われていない
(2)がんの進行状態を表す用語で、「病期(読み:びょうき)」と訳される

こたえ:(2)

治療方針決定に重要な「stage」

 どのがん腫でも、治療方針は診断時の進行度合いによって決められます。その進行度を表す指標がステージ(stage)であり、「病期」または「臨床病期分類」とも言われます。多くのがんにおいて、もっとも初期のstage が0期、もっとも進行しているstageがⅣ期と設定されています。

stage 分類はどうやって行うの?

 日本を含め、世界的に広く用いられているstage 分類として、国際対がん連合(Union Internationale Contre le Cancer; UICC)が設定している「TNM分類(読み:ティー・エヌ・エム分類)」〈表〉があります。がんの種類によってそれぞれ定義されており、T、N、Mの組み合わせによってステージが評価されます。例えば、からもわかるように、原発がんが小さく(T1a)ても、がんがリンパ節に達していたり(N2)、遠隔転移があったり(M1a)すると、stageも進行していると判断されます。なお、診断時のstageが治療方針や再発率、予後と関連するため、仮に手術によってがんの浸潤していたリンパ節が取り除かれたとしても、それに合わせてstageが変わることはありません。

表 UICCによるTNM分類の一例(肺がんUICC-7)

Advance!! もっと詳しく知りたいあなたへ

 Stage分類には、上で説明したUICCによるTNM分類以外に、日本の関連学会が独自に設定する「取扱い規約分類」があります。以前、日本では取扱い規約分類が主流でしたが、近年では各国で協力してがんの治療法開発に取り組んでいることなどから、UICCによるTNM分類に準拠する学会が増えています。
 また、TNM分類は厳密には、評価されたタイミングによって、さらに細かく定義されます。治療前に得られた臨床情報に基づく評価を「臨床分類(clinical TNM; cTNM)」、手術中に得られた所見に基づく評価を「術中分類(surgicalTNM; sTNM)」、手術によって得られた検体の病理所見に基づく評価を「病理分類(pathological TNM; pTNM)」と表記します。

[PharmaTribune 2012年7月号掲載]

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