薬剤師のための褥瘡薬物療法/褥瘡を見よう5ー褥瘡治療に関わりたい薬剤師へ

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褥瘡は薬剤師が実績を上げられる領域。
そのためにはまず見ることから!

古田勝経さん 談
(独)国立長寿医療研究センター
治験・臨床研究推進部高齢者薬物治療研究室、薬剤部、在宅連携医療部

褥瘡治療に関わりたいと思ったら、まずは実際に見ることが大事です。医師や看護師が既に介入している場合は、彼らがどのような評価をし、そのときに何の薬や医療材料を使用しているか、どのような点に配慮して治療をしているのかを聞いてみましょう。創の見方もわからなければ聞けばいい。例えば、「ここは何故こんなに白いんでしょうかね?」といった基本的なことでもいいんです。関係者と話し、毎週写真を撮って記録を取り、変化が見られるか確認しましょう。もし変化が見られなかったり、治るスピードが遅いようならば、それは何か問題があるということ。薬がきちんと効いているか、薬剤師の視点で確認するポイントになります。

私が最初に褥瘡の治療に携わったのは、もう30年近く前のことです。お尻にとても大きな褥瘡ができていて、患者さんの奥さんから「もうこの床ずれは治らないでしょうかね?」と相談されたことがきっかけでした。創を観察し、滲出液が多い部分と少ない部分それぞれに合わせて基剤を考えて薬を持参したら、当時の担当医からやり方を見せてほしいと言われ、そこで初めて処置をしました。結局その日以降も自分がずっと褥瘡治療を担当することになり、それまで5年間治らなかった褥瘡を4カ月で治しました。それからです、ビッグバンのようなことが起こったのは。当時は治らないと思われていた褥瘡を治し、誰の目にも明らかな実績をつくったことで、次から次へと他の科からも呼ばれるようになりました。

褥瘡は治療効果が目に見えます。そこで実績を上げることができれば、薬剤師の存在意義を医師や看護師に示し、信頼を得ることができるでしょう。

【監修・取材協力】(敬称略)
古田勝経 (独)国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進部高齢者薬物治療研究室、薬剤部、在宅連携医療部
長谷川雅子 アール薬局(奈良県大和郡山市)

【参考文献】
日本褥瘡学会編. 褥瘡予防・管理ガイドライン. 東京, 照林社, 2009.
日本褥瘡学会用語集検討委員会. 褥瘡会誌. 2009; 11(4): 554-556.
古田勝経. 薬剤師の視点を活かす 褥瘡の病態評価と薬物療法. 東京, じほう, 2012.
古田勝経. 早くきれいに褥瘡を治す「外用剤」の使い方. 東京, 照林社, 2013.

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