【在宅活動】契約時の工夫2

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

Q19.契約書、重要事項説明書の説明時に工夫していること、気を付けていることはありますか?

キーパーソンを押さえる

在宅活動を円滑に行うには、初回訪問が最も重要だと思いますので、キーパーソンに契約の話をする旨のアポイントメントをしっかりとり、説明するのが大事かと思います。

玄関先で終わらないように

誰が訪問するのかをはっきりと伝えます。玄関先ではなく、きちんとベッドサイドまで伺うことを確認しておきます。玄関先で終わりだと思っている方もいらっしゃいますので。

薬剤師の役割と費用を強調

訪問回数が状況によって変わること、単なる「お届け」ではないことを強調しています(薬物治療の管理です、と説明します)。支払いが発生するので契約を断られるケースもありますが、「タクシーで薬を取りに来るより安いですよ」と声をかけるようにしています。介護保険導入当初は、「月に1回の請求だけにしてくれ」とよく値切られました...。

キーパーソンかケアマネに同席してもらう

高齢の患者さんや認知症の患者さんは、家族から詐欺にあわないように、勝手に契約してはいけないといわれているのか、契約に踏み切れないことが多いです。トラブルを避けるためにも、キーパーソンに同席してもらえるようにアポイントを取って契約をするほうがスムーズに話が進みます。家族が同席できないときは、少なくともケアマネに同席してもらうほうが家族も安心されるようです。

費用をきちんと説明する

費用はきちんと説明したほうがいいと思います。介護保険で訪問するときと、緊急時のように医療保険で訪問するときとでは費用が変わることを伝え、かかった費用の明細をお渡しするので、それを見て疑問に思ったら連絡していただくよう伝えています。基本2週間に1回の訪問で介護保険料だけなら1か月1,006円(503円×2回)と伝えると「それだけ??」とぽかんとされたりホッとしたような顔をされる方が多いです。

患者さん・ご家族に配慮

初めて介護保険を使う患者さんの場合、ケアマネ、医師、訪問看護、訪問介護、福祉用具、訪問入浴、デイサービス、デイケアなどなど、たくさんの契約を結びます。それぞれに契約書と重要事項説明書と個人情報に関する事項があるので、ご本人もご家族も辟易しています。病院から退院して、移動だけで疲れきっていることもあります。どこにサインをするのか印をつけて、わかりやすい言葉で簡単に説明して次回までに記入をお願いしたり、返信用封筒をお渡しして郵送をお願いすることもあります。

患者さんが理解しやすい言葉

薬局の訪問の多くは介護保険を使用すると思います。訪問看護やケアマネ、ヘルパーなども契約をしているはずなので、「それらと同様...」と一言添えるだけで患者は理解しやすくなると思います。また、契約時の最後には必ず「先生と看護師さんの他に、もう1人お薬のことについて相談相手が増えたと思ってください」と言っています。

薬剤師の訪問の意味を詳しく説明

薬局薬剤師が、訪問して行うことを強調して説明します。

  1. 薬の効果や副作用の話だけでなく、服用している薬の効果の確認、効果がなければ、その原因(服用をなぜ忘れてしまうのか、服用しにくい薬があるか、など)を薬剤師の視点で追求すること
  2. 患者さんの生活を見て、食事・排泄・睡眠・運動・認知機能を探り、影響を与えている薬がないか等を考察すること
  3. 時にはバイタル(血圧・体温・酸素飽和濃度)などを訪問時に測らせていただくことを話しておくと、家にあげてもらいやすくなります

また,契約書,重要事項説明書とは別にその患者さん(利用者さん)の状況が把握できる表も作成しております。

他の薬剤師が急にその患者さん宅に訪問しなければならなくなったときに備えて、薬局スタッフの誰が見ても患者さんの状況がわかるようにしています。

24時間体制でのサポート

24時間対応すること、電話が転送され、いつでも相談にのることを強調し、安心感を持っていただくようお話しています。お家ではあなたが主人公で、あなたが過ごしやすいようにチームでサポートします、と伝えます。

相手の様子を見て説明

常に相手側の立場になって説明するように心がけています。内容が盛りだくさんなので、全てを話そうと必死になっていると聞いている側も嫌になってくると思います。特に契約書は小さい字で難しい言葉が並んでいるので、高齢者は嫌がります。先にポイントをお話し、もっと詳しく聞きたい様子ならば、その箇所を掘り下げて説明します。経験上、患者さんやご家族がよく気にされるのは、金額とサービス内容です。

捺印するのは誰?

以前、契約者ご本人(高齢者)が「大丈夫だから」とおっしゃるので、契約書に捺印してもらったのですが、後日、息子さんからお怒りの電話がかかってきたことがありました。それ以来、どなたに捺印をいただけば問題が生じないのか、前もってケアマネや医師から情報収集しています。

[PharmaTribune 2014年9月号掲載]

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする