局所進行・再発頭頸部がんに対する光免疫療法始まる 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:再発頭頸部がんに対する治療の現状 根治治療後に再発した頭頸部がん患者に対する治療は、長らくエビデンスに乏しい時代が続き、医師のさじ加減による治療が行われてきた。 ブレークスルーとなったのは、2012年に保険承認された分子標的薬セツキシマブの登場によるEXTREMEレジメン(プラチナ製剤+フルオロウラシル+セツキシマブ)の導入であった(N Engl J Med 2008; 359: 1116-1127)。その後、2017年にプラチナ抵抗性再発・転移性頭頸部がん(プラチナ製剤を含む治療から6カ月以内の再発・転移)症例に対するCheckmate-141試験に基づくニボルマブの保険承認(N Engl J Med 2016; 375: 1856-1867)、さらには2019年の再発・転移性頭頸部がん症例に対するペムブロリズマブの導入があった(Lancet 2019; 394: 1915-1928)。 これらの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により、再発頭頸部がん症例に対する治療選択肢は広がってきたが、いまだ奏効率は低く、治療効果発現までにやや時間を要し、腫瘍が急速増大している患者では有用性が十分ではないなどの問題点もある。ここに光免疫療法という全く新しい概念の治療が加わり、海外多施設共同の第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果を受け、切除不能な局所進行または局所再発頭頸部がんに対する治療として、2021年に世界に先駆け日本で条件付きの保険収載がなされた。 光免疫療法は、光感受性色素IR700をキメラ型ヒト上皮成長因子(EGFR)モノクローナル抗体であるセツキシマブに結合させた複合物質(セツキシマブ サロタロカン、以下、RM-1929)の静注投与の24±4時間後に非熱性赤色レーザー光(690nm)をフロンタルディフューザーまたはシリンドリカルディフューザーを用いて照射することにより色素を活性化させ、色素が結合した細胞に対する殺細胞作用を誘導させる、臨床的には全く新しい概念の治療法である(図1)。臨床前試験では、レーザー光照射後、細胞膜破壊による急速な局所の腫瘍壊死と、局所および全身性の腫瘍に対する免疫賦活効果が示されている。 図1. 光免疫療法の概要 本稿で紹介する論文(Head Neck 2021; 43: 3875-3887)は、局所または頸部再発頭頸部がんを対象とした光免疫療法に関する、第Ⅰ/Ⅱa相多施設共同非盲検試験の結果をまとめたもので、推奨用量、安全性、薬物動態、免疫原性、プレリミナリーな治療効果を報告している。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×