「在宅高流量鼻カニュラ酸素療法」の登場

エビデンス示した日本発の臨床試験

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研究の背景:「在宅ハイフローセラピー指導管理料」が新設

 今年(2022年)4月、「在宅ハイフローセラピー指導管理料」が新設された。これまで、在宅で使用可能な酸素療法は、通常の酸素療法と、非侵襲性換気(NIV)を含めた人工呼吸療法の2種類であった。

 さて、急性期では高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)が用いられることがある。これは、人工呼吸器やNIVに忍容性がなく、かといって通常酸素療法のみでは酸素化やQOLが維持できない場合、その間に存在する酸素療法である。

 上記管理料の新設により、HFNCを在宅で用いることが可能となった。要件は下記の通りである。慢性閉塞性肺疾患(COPD)以外の患者には適応されないため、注意が必要だ。

以下のいずれも満たすCOPD患者であって、病状が安定し、在宅でのハイフローセラピーを行うことが適当と医師が認めた者
ア:呼吸困難、去痰困難、起床時頭痛・頭重感などの自覚症状を有すること
イ:在宅酸素療法を実施している患者であって、次のいずれかを満たすこと
(イ) 在宅酸素療法導入時または導入後に、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)45mmHg以上55mmHg未満の高炭酸ガス血症を認めること
(ロ) 在宅酸素療法導入時または導入後に、PaCO2 55mmHg以上の高炭酸ガス血症を認める患者であって、在宅人工呼吸療法が不適であること
(ハ) 在宅酸素療法導入後に夜間の低換気による低酸素血症を認めること(終夜睡眠ポリグラフィーまたは経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定を実施し、SpO2が90%以下となる時間が5分間以上持続する場合、または全体10%以上である場合に限る)

 今回紹介するのは、在宅HFNCのエビデンスを示した神戸市立医療センター中央市民病院によるFLOCOP研究である(Am J Respir Crit Care Med 2022年6月30日オンライン版)。

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